縞馬は青い

縞馬は青い

映画とかドラマとか、好きなもの

ポップカルチャーをむさぼり食らう(2020年2月)

最近の僕のいちばんの関心事といえば(カルチャーの話です)、「この作品はおもしろい/おもしろくない」あるいは「この作品は社会的価値がある/ない」とかって、誰がどういう風に決めるの?っつうやつ。もちろん答えは決まっている、私たち一人ひとりだ。…

ただひたすらに幸せなーー『架空OL日記』が晴らす“月曜日の憂鬱”

YouTuberのモーニングルーティン動画ばりに長尺でみせる〈私〉(バカリズム)の朝の日常風景。例えば、洗面所の蛇口をひねってからトイレに行くという決まりきった日々の動線(用を足している間に水がお湯になっているという算段)に現れているように、どんな…

赤名リカ、その存在の証明/坂元裕二『東京ラブストーリー』

輝くほど真っ白なコートに身を包み、まっすぐでピュアネスな恋心を交感させるリカとカンチの恋物語、『東京ラブストーリー』。飛行機に乗って文字どおり“空から東京の地に舞い降りた”カンチに、まるでそのときを待ち望んでいたかのように惹かれてしまうリカ…

ポップカルチャーをむさぼり食らう(2020年1月号)

この世はすばらしいカルチャー、コンテンツであふれている。しかし当然のことだけど、そのすべてを一個人でキャッチすることはできない。そんな当たり前のことを忘れ、危うくアパートの更新料を払えないところでした。例えば夜遅くにやっていたドラマ、例え…

寄生虫は輪廻のなかを蠢く/ポン・ジュノ『パラサイト 半地下の家族』

(※物語の展開・ラストにがっつり触れるレビューなのでどうか観賞後にお読みください) 「計画を立てると必ず、人生そのとおりにいかなくなる。絶対失敗しない計画は、“無計画”であることだ」 本作においてさまざまな人物から発せられた「計画はあるの?」と…

ノア・バームバック『マリッジ・ストーリー』|その言葉で変わってしまうほど過去はヤワじゃないはず

言葉はいとも簡単に過去を改変してしまう。ときに痛々しく、またあるときには優しく包み込むように。そうした「言葉の鋭敏さ」をひしひしと痛感させられるのが、『マリッジ・ストーリー』という映画がもつ魅力(、あるいは恐ろしさ)のひとつだと思う。 ◆言…

ポップカルチャーをむさぼり食らう(2019年12月号)

『ビート・パー・MIZU』のヒロイン・石川瑠華さん 年末年始の省エネモード発動〜! ゆるい感じで書いていきますよ〜。ってな感じで4月からつけはじめたカルチャー日記もなんとか飽きずに続けてこれて、今年は以前よりも多様なカルチャーに触れることができた…

My Best Films of 2019

兵庫に里帰りしてもわざわざ京都(みなみ会館)まで行って『象は静かに座っている』(4時間弱の超大作)を観にいったり、実家では今年見逃した作品をストリーミング配信でカバーしたり、2019年は最後の最後まで映画を観切った。鑑賞数はだいたい110本くらい…

ハロプロ日記(2019年12月)

早くお雑煮を食べたい。そんなはやる気持ちを抑える12月、年の瀬の東京(から兵庫へ帰省中)。今年の4月からカルチャー日記をつけはじめたんですが、ほぼ毎月ハロプロと千鳥の話をしていたことに気づきました。飽き性の僕がこうなっているのは、ひとえに、新…

ポップカルチャーをむさぼり食らう(2019年11月号)

11月は、“人生でいちばん口内炎が痛い日”があった。これはその日に書いている。憎たらしいったらありゃしないそいつは、下の歯にちょうどあたる位置にできていて、しゃべるのはおろか、何もしてなくてもずっと全身を痛みが貫いてくる。こうやって事細かに描…

言霊と光、心を導いて/中川龍太郎『わたしは光をにぎっている』

確信的な 朝を何度も迎えにゆくために/これからもずっと どうにかしなくちゃ/君をおどろかせていたい/確信的だ 今日は必ずいいことあるはずだ/追いかけたバスが待っていてくれた/かっこいいまま ここでさよなら ーー「Home Alone」 恋しい日々を抱きし…

狂う男、狂わされた女ーー死の季節に生が薫る『マチネの終わりに』

『昼顔』の西谷弘監督×井上由美子脚本コンビということもあり、ただの大人の恋愛映画じゃないんだぞ、という薫りがぷんぷん漂う本作『マチネの終わりに』。はじまりからしてとても不穏で、いやに甘美。 そのはじまり。耳心地のいい音楽が心をやさしく撫でて…

ポップカルチャーをむさぼり食らう(2019年10月号)

10月もカルチャーは豊作であった。 とりあえず羅列してみる。 [映画]女が階段を上る時(DVD)/ジョーカー/蜜蜂と遠雷/宮本から君へ(2回目)/お嬢ちゃん(2回)/ぼくのエリ(ヒューマントラストシネマ渋谷)/街の上で(下北沢映画祭)/ブルーアワー…

血のつながらない家族をつなぐもの/常盤司郎『最初の晩餐』

「食卓」ってとても不思議なものだ。家族がそろって机を囲み、同じものを食べる。みんなで一緒にテレビを見ることがなくなり、ましてや一緒に外に出かけることがなくなっても、食卓だけは、家族が集い同じものを享受する場所として残っていたりする。みんな…

今泉力哉『街の上で』ーー下北沢という街に生きる人間たちの、“ストレートな想い”の物語

10月13日(日)に開催された下北沢映画祭にて、今泉力哉監督の長編映画最新作『街の上で』がワールドプレミア上映を迎えた。台風によって開催も危ぶまれたなか、一本の映画は堂々と産声を上げながら誕生し、会場に響き渡っていた笑い声や感嘆の声から察すれ…

世界が鳴ってるーー抑圧と開放の映画『蜜蜂と遠雷』

「音楽になったね」 耳をすましてみると、外でポチャンと音がした。なんだか雨が降ってきたみたい。その音に合わせて鍵盤を一音、また一音とはじいてみる。すると心地のいいリズムが、私とお母さんの心が高鳴り出す瞬間を捉える。 いつしか一音は連続して音…

ポップカルチャーをむさぼり食らう(2019年9月号)

タイトルに“ポップ”って付け加えてみた。いや、今まで不安だったんですよね。自分の好きなものってメジャーからは外れたもので、ポップと言ってしまうのはおこがましいんじゃないかってずっと思ってて。でもポップって別にメジャーってことじゃないし、僕は…

転生したら幸せになれますか?/森下佳子『だから私は推しました』第7話

ついに訪れた“押す”瞬間。第7話でもこれまた不気味な「階段」 が頻出し、 迷宮のようなこの世界から抜け出せずにいる登場人物たちの苦悶する様が描かれる。 高校生活でいじめ/ いじめられていた塚本美花はサニーサイドアップのハナとして第二の人生を生き…

カルチャーをむさぼり食らう(2019年8月号)

8月が終わった。なんだか暑くてぼーっとしていたような記憶しか残っていない。お盆に実家に帰ったりすると、帰京するころには抜け殻になってしまったりするから厄介だ。間違いなく実家でしか食えない、冬瓜の酢の物的なやつ(ネットでそれっぽいの調べても出…

持てあました想い/森下佳子『だから私は推しました』第5-6話

こんなにも各々が発する「好き」という想いは溢れているのに、それがどこにもぶつかることなく、幻想だけがガタガタっと崩れ落ちていく悪夢のような展開。ハナの過去(と現在の計算づくかもしれないふるまい)にある事実に気づくことですぐに消滅してしまう…

光の海を超えてゆこう/森下佳子『だから私は推しました』第4話

その闇に光を灯すことができるのは「お金」だけなのだろうか。そんなわけない!と否定してみても、現実はそう甘くはない。サニーサイドアップがアイドルフェスに出場できたのも、ハナが見違えるほどのパフォーマンスを披露できたのも、闇に隠れた愛の努力が…

陽の当たる場所へ/森下佳子『だから私は推しました』第3話

「私はあの子のオタなの」。そう告白しながら、徐々に黄色く染まっていく愛。まるで、後ろで出番を控えるサニーサイドアップに共鳴するかのように、まるで彼女たちに照らされているかのように、悔しさを吐露しながらも愛は美しく光り輝いていく。どうして彼…

あなたと私、目があった/森下佳子『だから私は推しました』第1-2話

m.youtube.comアイドルが髪を切る。そこに圧倒的な生の煌めきと幸福感が宿るのは、やっぱりこのMVを思い出してしまうからなんだろう。髪を切るなんてほんの些細な出来事かもしれないけれど、それを彼女が軽やかに踊りながら見せると、「何かいいことが起きそ…

カルチャーをむさぼり食らう(2019年7月号)

気分が落ちているときに一番支えになるのは「お笑い」だ。映画を観て涙を流すでも、音楽を聴いて体を揺らすでもなく、理性を失いながら顔をぐちゃぐちゃに歪ませて笑う。カルチャーに順序をつけるのもおかしいことだけど、映画よりも音楽よりも、お笑いが自…

僕たちはどこで生きていく?/ジョシュ・クーリー『トイストーリー4』

おもちゃだって生きる場所を選んでもいい。与えられた居場所に居続けるのもひとつの生き方だし、新しい居場所を求めるのもまたひとつの道。何よりも重要なのは、そこがほんとうの自分の居場所なのかどうか、心のうちがハッキリとしていることではないか。「…

カルチャーをむさぼり食らう(2019年6月号)

ユーロスペースのフライヤーが並ぶ壁面をおさめた画。ブレにブレてる。 好きな人に告白してフラれたりした6月。昔から、常に刺激を受けながら1分1秒も無駄にせず生きていきたいと思っていたり、人一倍好奇心が旺盛だと思っている自分ですが、東京に来てから…

赤い風船=関水渚がもたらす映画の奇跡/石井裕也『町田くんの世界』

いつになく感情的なレビューになります。好きすぎて好きすぎて、どうにかなっちゃうんじゃないかってくらい好きな映画だ。この作品を構成するすべての要素が好きだから、この感想だけですべてを補えそうにはない。特に好きだった、「ファンタジーがもたらす…

カルチャーをむさぼり食らう(2019年5月号)

薄給サラリーマンにとってゴールデンウィークというのは本当に長い。時間がありあまっちゃうとかではなく。どうしようもなく浪費癖があるので、湯水のようにお金が消えていくのだ。映画をみて演劇をみて、ときどき酒をたらふく飲んで、おいしいごはんを求め…

境界線を溶かす「音楽」という魔法ーー映画『さよならくちびる』で反復される“不在”と“存在”の意味

「一緒に音楽やらない?」 そういきなり声をかけるハルと、彼女がつくったカレーを食べて涙を流すレオ。あるいは楽屋の椅子を蹴っ飛ばすシマまで。本作が特異的なのは、常に「行動」が先立っていることだ。彼女たち3人の性格や人物背景、生い立ちを知らせる…

風に乗って、どこまでも/カネコアヤノ『恋文』

好きな人へ手紙を書いた。「あなたのことが好きです。」というストレートなラブレター。 土曜日。 朝起きて、3度ほど郵便受けを開け閉めする。ない。今日は夕方から大阪で姉の結婚式があるから、昼前には家を出なくちゃならない。帰ってくるのは月曜日の朝、…