縞馬は青い

縞馬は青い

映画とかドラマとか、好きなもの

邦画

映画『未来のミライ』はファンタジーではなく、単なるくんちゃんの妄想物語だ

(短文レビュー) ああいう「おもしろい家」で暮らしてると、創造力というか、妄想が止まらないんだろうな。これはファンタジーというよりも、(単なる)「くんちゃん」の妄想物語なのではないか。 だから未来のミライちゃんが「いきなり」現れることに理由…

そうして暑い夏が始まって/枝優花『少女邂逅』

ときどきある。席を立って映画館から出ても、心だけをその場所に置いてけぼりにしてきてしまうことが。外のむわっとしたぬる~い風だけを肌に感じながら、遠い世界から吹いてくる息吹に持ち上げられ、ふわふわっと宙に浮いてしまうような。映画の息吹を感じ…

飛べないから飛ぶんだ/鄭義信『焼肉ドラゴン』

全面的に指示できる映画ではない。むしろあまり好きではないタイプの映画だったのかもしれない。それでもなにかグサリと刺さる、心がじんじんと火照ってしまう「熱」をつねに感じさせる作品であった。 ときは1969年、高度経済成長期の真っ只中。場所は関西の…

ビー玉に宇宙を透かしていた/是枝裕和『万引き家族』

なんとも釈然としない映画だ。いや、そんなことは観る前からわかってたことだけど、なんというか、打ちのめされた!って感じ。泣いていいのか怒っていいのか、はたまた笑っていいのかわからないこの感じ。どれもが正しい感情なんだろうけど。うん。カンヌを…

「芸術のゴールデンウィーク!」と題してポップカルチャーを貪り喰らった一週間のこと

社会人になってはじめてのゴールデンウィークだ。この頃、どうやら自分は孤独が好きではないらしい、と気づきはじめたのだけれど、そうは言っても友だちがあまりいる方ではないし、実家に帰るのもお金がかかるのでこのゴールデンウィークは孤独に、なんの予…

彼は彼女に魅了され/岩切一空『聖なるもの』

『聖なるもの』本予告編 - YouTube 「新時代の到来」と噂される岩切一空監督の長編最新作『聖なるもの』を観た。初日の舞台挨拶付きで。これがすっごく変な映画で、頭にこびりついて離れないシーンとかしょうもないセリフとか、ガンガン鳴り響く音楽とか可愛…

エロティックな三浦さん/冨永昌敬『素敵なダイナマイトスキャンダル』

『素敵なダイナマイトスキャンダル』本予告映像 - YouTube (短文レビュー) 幼い頃に実の母親が隣の家の息子とダイナマイトで心中をした、という驚きの体験をもつ雑誌編集者・末井昭氏の同名自伝を原作として映画化されたのがこの作品。 「ある一人の人物の…

孤独の先にある孤独/今泉力哉『パンとバスと2度目のハツコイ』

自分はこうゆう性格だからと決めつけたものの、やっぱりそうじゃないと思ったり実は無意識に正反対のことを強く求めていたり、人間って色んな感情を抱えながら模索して生きている。抽象的な導入になってしまったけど、本作、元乃木坂と三代目が主演のアイド…

出るものが出る/吉田恵輔『犬猿』

吉田恵輔監督による4年ぶりのオリジナル脚本映画。これがめちゃ面白かった。久しぶりに映画館で泣いた。これは兄弟を持つ人よりもこうゆう兄弟をそばで見てきた人の方が心に刺さるかもしれない。僕はこの映画を観て、子供の頃毎日遊んでた近所の兄弟を思い出…

人と人は分かりあえるのか/吉田大八『羊の木』考察・感想

『桐島、部活やめるってよ』において吉田大八監督は、カメラを向け合うことによって通じ合う2つの心を描き出した。ラストの屋上のシーン、前田が将来を語り、宏樹が涙するあの場面である。決して交わることのなかったあの2人の邂逅。住む世界が違っても、考…

浜辺美波が教えてくれる この世界の美しさ/月川翔『君の膵臓を食べたい』

君の膵臓をたべたい Blu-ray 通常版 出版社/メーカー: 東宝 発売日: 2018/01/17 メディア: Blu-ray この商品を含むブログを見る 〈A面:君と僕 私と彼〉 私が一年前に塾講師のアルバイトをしていたとき、大学受験を控えた高校3年生の生徒が「生きることがつ…

君はここから出られないのだ、夏!/長久允『そうして私たちはプールに金魚を、』

見てくださいよ、この少女たちの煌めきを。かっこよすぎるでしょ…。 本作『そうして私たちはプールに金魚を、』は、第33回サンダンス映画祭の短編部門でグランプリを受賞した作品。この映画祭もその栄冠もどれくらい凄いのか判断しかねるんですが、なんでも…

2017年ベスト映画&ドラマのお話

はい。(いつも通り)映画漬けの一年でした。せっかくブログというものを始めたので大々的に記録しておきたいと思います。今年映画館で観た新作映画の数は67本。加えてNetflixで限定公開された映画を2本、見逃した映画をレンタルで2本観たので、合計71本(邦…

一歩を踏み出す勇気/大九明子『勝手にふるえてろ』

女性版『モテキ』、あるいは日本版『スウィート17モンスター』の様相でした。松岡茉優演じる24歳のこじらせ女子によるぐるぐるネジネジエンターテイメント、これがまぁ面白い。突然挿入されるミュージカル調や多彩な服装が表すカラフルな映像、松岡茉優の一…

おしゃれな田舎ムービー/森ガキ侑大『おじいちゃん、死んじゃったって。』

今年も、血の繋がらない家族が描かれた『幼な子われらに生まれ』や『彼らが本気で編むときは、』、家族に危機が訪れるSFちっくな『サバイバルファミリー』、『美しい星』などが公開され、《家族》を題材にするとそのバリエーションに事欠かない日本映画です…

君の名は希望/白石和彌『彼女がその名を知らない鳥たち』

この映画こそ〇〇〇〇返しという宣伝文句を使うのに相応しい作品なのにあえて使わない頭の良さ。宣伝が難しそうな映画だけど予告編もうまく出来てるんだよなぁ。製作陣及び宣伝会社の愛を感じる。しかし良い映画だった。しみじみと。それにしても、2016〜18…

木下惠介「永遠の人」

雄大な阿蘇の山麓で繰り広げられる男と女の愛憎の叙情詩 これは面白すぎてどうにかなりそうでした。欲にまみれた人間関係や観るものを激情に駆る大仰な演技など随所にこの時代の邦画らしい側面を感じるものの、一方で今まで観てきた邦画とは似ても似つかない…

黒澤明「羅生門」

真実と嘘の混じり合った豪雨が純真な赤子のもとに容赦なく降り注ぐ 登場人物はたったの8人!多襄丸という男が武士の夫婦を襲って、夫の方を殺した!何とも分かりやすい序盤の展開。そのはずなのにそこからの展開は混乱を極めます。「分かんねぇ。さっぱり分…

押見修造「血の轍」第1集

表紙から漂う異様さ。ただ幼な子が母親に抱かれているだけなのに何か不穏な空気を感じてしまうのは成島出監督の映画「八日目の蝉」の影響もあるだろう。しかしそれだけではないはずだ。デフォルメが抑えられた女性と子供の顔に釘付けになり、この漫画の帯に…

成島出「八日目の蝉」

地上に出てくるとたった七日で死んでしまう蝉。でももしも八日目を迎えた蝉がいたら…。仲間がみんな居なくなった世界で一人苦しみ、一日多く生きたことを悲しむのか。それともその一日で何か素晴らしいものを見つけて幸福を掴むのか。 物語は幼児の誘拐やカ…

是枝裕和「そして父になる」

十一月、野々宮良多(福山雅治)とその妻みどり(尾野真千子)、そして息子の慶多はいわゆる"お受験"のために私立小学校の面接会場へ訪れる。息子の明るい未来を確定させるため早い時期にレールに乗せようとする父親の良多。そのお受験も難無く終わったよう…

是枝裕和「DISTANCE」

つい最近観た「月子」と何処と無く面影が似てると思ったら撮影監督が同じ山崎裕。是枝初期作品や西川美和の作品なんかにも登場するカメラマンだ。この人が撮る映像には〈生(なま・せい)〉が鮮明に映し出されることが特徴的で、「見えないけれどそこに確か…

"わたし"から"われら"へ/三島有紀子『幼な子われらに生まれ』

郊外のニュータウン。マンションが立ち並ぶ中、1つ1つの窓からは部屋の光が漏れ出る。その中の1つ、浅野忠信演じる男性・信が帰っていく家には妻と妻の連れ子である2人の娘が。一方で自身にも別れた妻との間に血の繋がった娘を持ち、年に4回ある面会の…

らーめん・映画紀行❶中津・梅田

梅田に映画を観に行くときは軽い小旅行のような気持ちです。とにかく面白い映画と美味しい昼食を摂りたいと意気込みながら電車に乗り込みます。ここで言う昼食は大体ラーメンになってしまうんですが…。 1時間の道中の暇を潰そうとAmazonプライムで『メイド…

そこに置いてきた夏休みの宿題/相米慎二『お引越し』

なぁお父さん、もうあかんの? 主人公のレンコは父親と一緒にバイクにまたがり背中にぎゅっとしがみつきながらそう尋ねる。しかし父親からの返事はない。背中の温かみを感じつつも父親の顔色を伺うことはできない。もうあの頃に戻ることはできないの?あの幸…

映画『怒り』における田中(森山未來)について

昨年の個人的ベストムービーがこの作品でした。映画館に2度足を運んだことで見えた森山未來が演じた「田中について」、映画レビューアプリfilmarksに記したものから抜粋したいと思います。 田中(森山未來)はみんなが思ってるより悪い奴じゃないんじゃない…