縞馬は青い

縞馬は青い

映画とかドラマとか、好きなもの

戒めの映画日記ーー薄給社会人1年生のくせに1ヶ月で16本も映画館鑑賞してしまったことへの。

過ぎてしまったことは仕方がない。と、いきなり開き直る。なんかお金の減り方が半端ないなと思って数えてみたら、今月16回も映画館に通っていたのだ。数えるまでは10本くらいだと思ってたのに、まぁそれでもやばいのだけど。これはお母さんが知ったら驚かれるだろうな…。しかし本当に、過ぎてしまったことは仕方がないのだ。これだけインプットをしたからにはアウトプットにも尽力すべき。そうでないとたくさん見た意味がないので今月見た16本をレビューすることにする。

以下鑑賞順。

 


『愛と、酒場と、音楽と』

3つの短編映画からなるオムニバス映画。昨年の映画『月子』や去年の大河ドラマ『直虎』とかも出てて俳優としても活躍している井之脇海くんが監督を務めた短編と新進映画監督兼女優の小川紗良さんの短編に惹かれてユーロスペースへ。16本のなかで一番後悔したやつだ。井之脇監督の1作目がかろうじて見れたくらいで、特別どれもおもしろくなかった。小川さんの『BEATOPIA』と言う作品の中で、主演でもある小川さん(作中ではドキュメンタリー映画を撮っている)がドキュメンタリーに自分の演出を加えちゃっていて、なんかイラっとして思考力が閉ざされてしまった。

 


アントワーン・フークアイコライザー2』

アントマン』の2作目とか『デッドプール2』とか、最近“2作目”に全く手が伸びないでいるのだけど、これは別腹。アクション映画のなかでロバートマッコールさん(デンゼルワシントンさん)が一番好きだ。内容はもう忘れたけど。

 


高坂希太郎若おかみは小学生!

SNSで話題すぎて見るしかなくなった系の映画。最近多いなそういうの。個人的にアニメ映画は当たる可能性が低く、フレンドリーな幽霊が出てくる作品が苦手という難点がありつつ、本作、ちゃんとおもしろかった。ていうか普通に泣いたんだった。最初から強い女の子に見えるヒロインが、実はそんなことはなく、感情をあらわにするたびにだんだん強くなっていく姿がじんわりくるんだわ。

 


ナタウット・プーンピリヤ『バッドジーニアス』

これも上に同じな理由で鑑賞。上に同じな感想。危なげない完走。大きすぎる反響。

クライム映画と言われると物足りなくて社会派映画と言われると少しもやっとする。ただカメラワークとかがすごくて大興奮だった。見なくてもよかった映画なのかもしれない(今後のスマートな映画鑑賞のための断捨離的なブログであったことを思い出した)。

 


佐向大教誨師f:id:bsk00kw20-kohei:20181028224526j:image

大杉漣さん最後の主演作ということで観に行ったけどこれはすごくおもしろかった。教誨室というところ(まぁ面会室みたいなとこ)で死刑囚と教誨師(教えを説く人)がただひたすらに会話を重ねる114分。死刑制度や罪と赦し、生きていくことについてなど、内包するテーマがすごく深く、大杉漣さんと観客との最後の対話のような側面もあって「終わってほしくないな」「考え続けないとな」という感情を抱かせる。会話だけで物語や人の関係がグラつく正統派な会話劇をやっている。

 


デヴィッド・ロバート・ミッチェルアンダー・ザ・シルバーレイク

途中が長すぎた。期待度が高まりすぎて、あんまり…となってしまう典型パターン。A24作品はみんな絶賛するけど個人的にたまにこういうこともある。『ムーンライト』『パーティで女の子に話しかけるには』などなど。A24作品は軒並み出てる俳優がドンピシャすぎて見ちゃうんだけど断捨離しなきゃ。とは言ってもさすがにこの勢いからすると時代に逆行することになるか(結局見るんだろうな…)。

 


ジョン・クラシンスキー『クワイエット・プレイスf:id:bsk00kw20-kohei:20181028224647j:image

人生でホラー映画5本くらいしか見てないから簡単に言っちゃうけど、これホラーで1番好きだわ。ホラーと言っても敵が幽霊じゃなくて怪物な点(幽霊ってのは想像掻き立てられてしまうので怖すぎて無理)と大好きな「スリラー映画」と「家族映画」に分類される点、クライマックスの夜のシーンが無意識に心を湧き立たせる点(映画原体験のひとつ『ハリーポッターと炎のゴブレット』の影響だと思う)が最高。横にいた友達が明転後すぐ「おもしろくなくない?」と聞いてきたので「おもしろいよ」と返した。

 


山中瑶子『あみこ』f:id:bsk00kw20-kohei:20181028224116j:image

勝手にガールミーツガール系の映画だと思っていて慌てて見たのだけど一番の力点はそこではなかった。監督は弱冠21、2歳らしいのだけどものすごいシネフィルで本作にもオマージュがたくさんあるらしい。途中でいきなり3人の男女がダンスを踊り始めるシーンがあって、これはゴダール『はなればなれに』のオマージュか!と色めき立ったら、そのシーンをオマージュしたハルハートリー『シンプルメン』のオマージュだったらしく、「うわ~こいつ…」ってなった。踊ったあとに「日本人は勝手に体動きださねぇんだよ」みたいに吐き捨てるセリフもいい。世紀の女の子映画『21世紀の女の子』にも名を連ねてるけど、日本映画の未来は明るい、ていうか今現在の日本映画の幅の広さを感じて興奮した。

 


山田尚子リズと青い鳥f:id:bsk00kw20-kohei:20181028224126j:image

傑作。4月に公開された映画、ユジク阿佐ヶ谷で『少女邂逅』とともに上映されていたので今さら鑑賞した。ブログも書いたけど今年やけに多い「ガールミーツガール系」の映画。アニメってこんなすげぇことできるんだなってのが一番の驚きで、手足の細かな動きとか声のトーンとかがグサグサと刺さりまくって大変だった。ちょっとモヤっとする、定型にはまらない終わり方がまたいいんだよな。

 


大森立嗣『日日是好日

この映画に関しては「希林さんの登場シーンで泣いた」以上の感想がない。もっと希林さんの言葉を聞きたかったな。あのおもしろさを味わいたかったな。

 


廣木隆一ここは退屈迎えに来てf:id:bsk00kw20-kohei:20181028224139j:image

これは刺さった。自分の境遇や今の環境、未来、に則しすぎていて他人事にできない映画だった。とりわけ、ゲーセン、ファミレス、ラブホといった地方都市のアイコンがそれぞれの姿を見せている(退廃したり、変わらず賑わっていたり、常に気だるそうだったりしている)のが登場人物とも重なっていて印象的。2018年を彩るバイプレイヤーといえば渡辺大知と伊藤沙莉だよなぁ。なんか愛らしいこの2人を対比してみたくなる。

 


白石和彌止められるか、俺たちを

映画よりも満島真之介さんと岡部尚さん(最近濱口竜介作品を数本見てたからお目にかかれてよかった)が登壇していた舞台挨拶の方の熱気にやられてしまった。2人の映画人の熱を直に感じ、もっと頑張らなきゃって自然と思える。落ち込んでいる若者に「もっとやってやろうぜ!」と勇気を与えてくれる作品だ。

 


スタンリー・キューブリック2001年宇宙の旅IMAX上映

去年初めて観て、これは絶対に死ぬまでに一度でいいから映画館で観たい!と思ったやつ。こんなにすぐに見れるとは。『インターステラー』もそうだったけどこういう系、2回目は結構眠いね。ただクライマックスは圧巻だった。キューブリックの映画を映画館で観るってこんなに贅沢なことはないよ。

 


玉田真也『あの日々の話』f:id:bsk00kw20-kohei:20181028224156j:image

東京国際映画祭日本映画スプラッシュ部門。16本に達してしまったのはこの映画祭のせいでもある。これに関してはもうしょうがない。さて『あの日々の話』。劇団・玉田企画の同名舞台を映画化した作品だ。夏に観劇した『バカンス』もそうだったけど会話劇によって人間の多面性が浮き彫りになる様が気持ちよすぎる。たくさん笑った。手で膝を叩いちゃうくらい笑った。マウンティングと性と友情についての、おぞましくもおかしい、これでもか!と人の裏側がむき出しになり続ける100分間の密室会話劇。刺激的な会話の応酬に、シドニー・ルメットバカリズム濱口竜介を感じた。役者は元の舞台と一緒だと言うから、その演技は完成されすぎてて鳥肌が立つレベル。ちょい役太賀くんと村上虹郎くんも存在感はすごいのだけど、ほとんど見たことない俳優の中でも彼らが全然浮かないのが、他の俳優たちの強さなんだよな。忘れかけていた大学生の楽しさと気だるさを少し思い出しながら、六本木のハロウィンの空気から逃げるように家路についた。

 


今泉力哉『愛がなんだ』f:id:bsk00kw20-kohei:20181028224221j:image

こちらも東京国際映画祭。やはりおもしろい。今泉監督はツイッターとかを見ていると(ツイ廃なので)大したことなさそうに見えるのだけど、いざ映画を見てみるとやっぱすげぇ人だ!ってなる。今月は宮部純子さんの演劇『お見合い』のアフタートークでも今泉監督を拝見したのだけど、そのときのコメントもあぁすごい視点だなぁって感じたんだけど、今日の上映後のQ&Aはもっとすごかった。常に「誠実さ」を感じる監督だ。時には言わない方が良いことも言ってしまう。本作も「誠実さ」が軸にある映画だと思う。というより段々登場人物たちみんなが誠実さを意識しだすというか。(名前が出てくる最後のシークエンスは誠実さのリレーだと思う)

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今泉映画は自然の成り行きで共感させられてしまう。まるで折り紙を折るように、人の面と面が重なり合って同質化していくのが気持ちよく、やがて私たちたちにも重なってきてドキッとする。今泉映画の醍醐味のひとつだ。面といえば本作は麺の映画でもある。アルミ/土鍋うどん、カップ麺/ラーメンの対比から感情が透けて見えるのがつらい。とにかく全役者魅力的すぎるんだけど、なんと言っても岸井ゆきのさんが最高。つまんなそうな顔とにやけ顔の往来がかわいすぎる。KANA–BOON『ないものねだり』のあの不貞腐れた女の子が、東京国際映画祭の舞台に立っているなんて、到底信じられないし、でも当然なような気もする。もっと書きたいことがあるんだけど公開は来春らしくて今語っても全く需要がないので、来春まで我慢する。角田光代原作だけど極めて今泉印な映画だった。


16本目は10月30日鑑賞予定ののロン・マン『カーマインストリートギター』。こちらも東京国際映画祭。理由はわからないけど予約済み。自分が怖い。


ということで16本。これだけ見てもほとんどハズレがなかったのだから、映画って怖いわ。でも芸術の秋だったからってことで、自分で自分を許してあげようと思う。