縞馬は青い

縞馬は青い

映画とかドラマとか、好きなもの

先週食べたカルチャー(20年7月2週目)

先週観た映画、ドラマ、バラエティ、YouTube、コンサート、読んだ漫画の記録。めちゃくちゃ好きな漫画に出合って心が洗われたのと、久しぶりにハロプロのコンサートに行けて幸福感に満たされた1週間だった。

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劇団・ヨーロッパ企画製作の映画『ドロステのはてで僕ら』を観た。『サマータイムマシンブルース』にも通じるような、さらっと楽しめてあっと驚ける時間超越系SF。物語のSF設定については言葉で語るより実際に観るほうが早いのだけど、まぁ要するに、「2分後の世界」が見えてしまう“タイムテレビ”が突如現れ、そのたったの2分が徐々にスペクタクルに世界を広げていく、藤子・F・不二雄的世界観のもとに構築された作品。物語は半径10メートル以内で繰り広げられながら、最後にはポッと恋の雰囲気も漂う楽しい映画だった。朝倉あきさんが出てるのが観る決め手だったのだけど、ゲスト感がそのまま役に活きていて相変わらず声も良くて最高でした。<現在>が<未来>や<過去>に引っ張られてしまうストーリーの感じは普通に面白くて、主人公たちの最後の選択まで観て『メッセージ』まで想起してしまった。

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SFづいたそのままの勢いでAmazonPrimeの『ヴァスト・オブ・ナイト』を鑑賞。ぜんぜん大作ではないし元はインディーズ製作のSF映画でありながら、本国アメリカで評価されTwitterでもけっこう評判がよくて気になっていたやつ。これがなぁ、監督の“SF映画大好き感”が漂う冒頭はさっぱり物語に入り込めなかったのだけど、ストーリーが一気に動き出す20分くらいのところからグッと引き込まれてしまって。物語内の時間とほぼ同じように映画の時間が進んでいくから、緊張感と没入感が凄かった。そして観終わってしまうと、冒頭の20分もめっちゃ愛おしい時間だったなと思ってしまう。舞台は1950年代のニューメキシコ、若きラジオDJと電話交換手が奇妙な現象に遭遇するという物語。場面転換の際の地を這いずるようなカメラワークがかっこよすぎる。何かが映り込みそうなワクワク感に連れて行かれ、訪れるラストのエモーションったら。

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『花と頬』という漫画をAmazonでたまたま見つけてジャケ買いしたら、これがまぁほんとに素晴らしい作品でした。最近は1巻完結の漫画ばかり読んでいるけど、今まで読んだなかでも一番好きかもしれない。ストーリーは言ってしまえば単純なボーイミーツガールもの(正確にはガールミーツボーイ)でありながら、こんな描き方あったのかよ、と感心してしまう絵の画角、心情の機微の捉え方、人物描写の奥行き、人の語りと余白、サンプリングカルチャーのディテールなど良きところの数々……。読めば読むほど、歳を経れば経るほど違う味がしてくるのだろうという圧倒的な豊かさ。映画っぽいと感じつつも、この読後感は漫画でしか味わえないだろうなっていう、鮮やかな白の空間に満ちあふれていたと思う。ルーズリーフをLINEのチャット画面みたいに使う冒頭から好みドンピシャだったんだよな。

花と頬 (楽園コミックス)

花と頬 (楽園コミックス)

  • 作者:イトイ圭
  • 発売日: 2019/09/30
  • メディア: コミック
 

PFFのオンライン映画祭で山中瑶子監督の『あみこ』と『魚座どうし』が上映され、そのあとに池松壮亮くんと監督との対談があった。映画はどちらもすでに観ていて傑作だってことは何度も言ってるのだけど、今回はこの対談の内容が素晴らしすぎて終始ホクホクしていた。23歳にして既に「映画」を完成させてしまっている気鋭の監督と、30歳を目前にした俳優の対談。映画の話から徐々に「生活」と「人生」、コロナを経た世界に生きるものとしての「言葉の頼りなさ」や「正しさとは何か」という命題、そして最後に「映画をつくることの意味」を探り合うような内容になっていて、30分くらいしかなかったけどコロナ禍のいろんな難しさがここに集約されているような会話の豊かさがあった。『チェルノブイリ』や『夜と霧』、『はちどり』という作品の名前が飛び出したり、(山中監督が3月に行くはずだったという)アウシュビッツに想いを馳せたり。実は『花と頬』にも『夜と霧』がさらっとだけど重要なモチーフとして出てきていた(恐らく『花と頬』というタイトルのモチーフにもなってる)。

(『はちどり』の話題から)

池松:「負の遺産」みたいなものって考えてます? ある意味僕は『あみこ』にも『魚座どうし』にも、こうなんて言うのかな「第二世代感」?何かこう上を見つめて未来を見つめてないとああいうものは生まれないと思うんですね。なんかそういうことって考えたりします?

山中:そうですね、考えますね…。私は『夜と霧』っていう本がバイブルの一冊なんですけど。『チェルノブイリ』を観た後もずっとそういうことを考えてましたし。時代も国も超えて、言わば直接的には関係のないところ、いや直接的に関係ないわけではないんですよね、そうなんかこう、実際そこにいたわけではない自分だけど、その「負の遺産」っていうのは全く関係ないわけではなくて。絶対に人間の根底に影響を及ぼすものというか。

世界で起きている問題は自分の生活と切り離せないんだというまなざし。現実の苦しい世界を描いた『魚座どうし』のなかで唯一“いい大人”として登場する人物について、なぜ彼を登場させようと思ったのかと池松くんが聞いたときに山中さんは「まぁ…わりと私は世界は過酷で不条理なものだと子どもの時から一貫して捉えてはいるんですけど、にしてもそれだけだとちょっとむごたらしすぎるなぁと思って、どうかあの少年にも心寄せられる人がいなきゃいけないなぁと思って…。」と答えていた。世界は不条理だけれど一点の美しさも同時に存在しているという価値観に、僕が敬愛する坂元裕二の空気感が漂っていたし、その彼女がつくる映画をずっと観ていたいなと思わされた。ほんとうにいい対談でした。

家でホウ・シャオシェンのレッドバルーンを観た。台湾の巨匠が傑作短編映画『赤い風船』にオマージュを捧げてフランスで撮った映画は全編に優しさと温かさが溢れていて、ストーリーなんかはあるようでないけどずうっと観れてしまう、観たいと思わされてしまう不思議な作品だった。たぶん生活の描写が素晴らしかったんだと思う。(代表作『恋恋風塵』がピンとこなかったので……)ホウ・シャオシェンの映画を好きになれる日が早くきてほしい。

『MIU404』第3話。脚本も演出も役者もかっちりハマって急激に何段階かギアを上げたターニングポイント回でしっかり度肝抜かれた。ここまでの1、2話の展開にあんまり満足してなかったから尚更っすね…。前田旺志郎鈴鹿央士、山田杏奈という大好きな若手俳優陣の登場からしてすでにズルいのに、岡崎体育と挙げ句の果てに菅田将暉まで出してしまうんだから(黒川智花も重要そうな役回り)。ストーリーも急に真に迫ってきて、エンタメ的な語り口ではありながら(現在公開中の傑作“いじめ加害者映画”)『許された子どもたち』のような社会派映画にもアプローチできる鋭さを持っていて、やっぱり脚本・野木亜紀子さんの視野の広さとストーリーテリング力はバケモンだなって何十回目の改めてで気付かされる。米津玄師の『感電』にもようやくハマりました。

『ニューヨークのニューラジオ特別編』にピスタチオと若手コンビ・マリーマリーが登場。ピスタチオの売れるまでの紆余曲折とか若手男女コンビのリアルな悩みをニューヨークが軽妙に聞き出していく感じがめっちゃ面白いんだけど、よく考えたらこれ「若手芸人版の『あちこちオードリー』やん」という考えに至った。ていうか普通に気づくのが遅かっただけだけどまじでそうなんだよな。いくらテレビで第7世代を相手取ってヒールを演じてみせても本人たちは案外“いいやつ”だし人にめちゃくちゃ興味があるから、誰がゲストに来ても盛り上がってしまうんだ。若手芸人たちから一定の信頼を勝ち得ているから『アメトーーク』的な企画もぶち上げてしまえるし、YouTubeにどんどん脂がのりだしてる。一方で今週も『さんまのお笑い向上委員会』とか『爆笑問題のシンパイ賞』とかで第7世代のやっかみ役を見事に体現してみせていて、(大衆化は難しいまでも…)お笑い好きはもう全員ニューヨークを認知してるし大好きなんだろうなという気がする。だからテレビで売れようとしすぎず、このままのペースで芸人YouTube界を盛り上げてほしい…というのが個人的な希望。ぜったい100%売れるよなぁ。

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『THE 芸人プリズン』という、オードリーとアンタッチャブル大喜利番組がめっちゃ面白かった。とりあえず土曜の昼2週だけの特別番組なのかな。大喜利で100個笑いを取れないと帰れないというストロングスタイルのお笑い番組アンタッチャブルがわちゃわちゃしてるだけで楽しくてうるさいけど、その様子を「2人そろうと漫才が始まっちゃう感じが鼻につく」と大喜利解答に利用する若林に笑った。

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Hello! Project 2020 Summer COVERS ~The Ballad~』ハロプロの夏のコンサートは例年とは全く異なり、ハロプロ楽曲以外のJ-POPバラード曲をメンバー一人ひとりが歌唱するという内容に。その中野サンプラザ公演に当選したので数か月ぶりにリアルの音楽ライブに行ってきた。ずうっと着席で歓声もなし、いつものハロコンとはまるで状況が違ったけど、歌声に癒されまくる幸せなひとときだった。僕が観たAチームの公演はトップバッターから本命の段原瑠々さんが出てきたり、中学3年生の少女・岡村ほまれちゃんが浜崎あゆみの「M」をしっとりアイドル感も残しながら歌い上げていたり、ラストに小片リサさん(つばきの推し)が『いつ恋』の主題歌でもある「明日への手紙」を歌ってビシッと締めていたり、最初から最後まで胸熱な公演でした。ライブに行くと、ライブに行きたくなる……(あとコロナ自粛明けの「五丁目ハウス」も最高に旨かった。感染防止対策がしっかりしてる)。

フワちゃんが出演した徹子の部屋が無条件に元気出るやつだった。黒柳徹子を見事人心掌握してしまっていて。トットちゃんのことがまじで大好きだったらしく、放送の終わり際に「帰り道会う人ぜんいんに自慢する。街のおばさんにもおじさんにも自慢する。いっつも犬を散歩させてるおじさんの知り合いが近くにいて、犬の名前は“しじみちゃん”っていうの」って言ってた。ほんとアニメのキャラクターみたいなエンターテインメントな生き方を地で行ってる人だなって思った(もう何度かインタビューさせてもらってるけどその印象はずっと変わらない)。大好き。

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今週食べたいカルチャー

ABCお笑いグランプリABEMAで7月12日放送。

『のぼる小寺さん』モー娘。工藤遥さんが主演してる青春映画、評判いいので観なくては。

『劇場』7月17日公開又吉直樹原作、行定勲監督作がついに劇場公開。試写で観て松岡茉優の演技に心打ち抜かれたので、もう一度観たい。