縞馬は青い

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怒らない国ミャンマーで怒りが爆発した彼女/Netflix『あいのり Asian Jorney/Season1-6』

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NETFLIXとフジテレビが共同で製作した『あいのり』の新シーズン。地上波放送からは実に8年ぶり(CS版を含めると5年ぶり)の復活ということで、その頃少年だった筆者にとっては少しの懐かしさもありつつ、この番組を見れるほど大人になったことに喜びを感じています。Season1は早くも6話まで進みましたが、やはりこの番組は面白い。その面白さ、右肩上がりで留まることを知りません。

以前のテレビ放送では今田耕司久本雅美ウエンツ瑛士などのスタオジオメンバーが旅のVTRを見てあれこれ言い合うというスタジオパートがありましたが、本作でもその姿は健在です。スタジオパートの出演者はベッキー河北麻友子、オードリー(若林・春日)、大倉士門の5人。本編の面白さは言うまでもないですが、このスタジオパートもすごく見応えがあるのです。大倉士門さんというお方、あまり見たことがありませんでしたが「イケメンな癖して」女心をひとつも分かっていない。彼が的はずれな意見を言うたびにベッキー河北麻友子から厳しいご指摘が。

大倉:女の子が弱い部分を自分に見せてくれてるっていうことは、それは(女の子から自分への)ヘルプで(恋愛対象として)見られてんのかなって思っちゃうんですよ

河北:それは勘違いだよ

(第2話より)

一刀両断のこの場面以外にもたくさんありますが、この大倉士門が的はずれな意見を言うたびに愛らしさが増していくのも面白いところです。このように男性陣と女性陣の間で明確に恋愛格差が生じる場面が多々あり、恋愛弱者が恋愛強者から恋の指南を受ける様はどこか滑稽であり、しかし勉強になる。「女心を分かっていない」男性陣と「それに呆れる」女性陣の会話は、それだけでエンターテイメントとして成立するだけのクオリティがあります。

さて第6話のお話。怒らない国ミャンマーで、でっぱりんが怒りを爆発させてしまう。ミャンマーの国民がなぜ「怒らない」のかということを聞かされた場面での改心はどこに行ってしまったのでしょうか。

ハト胸:まさしく心の余裕なかったんやなって今の話聞いて思った

アスカ:結局自分のことしか考えてないってことだよね。一番は、相手のことを考えるのが大事なのかなぁって思う

でっぱりん:感情的になって怒ったりとか、それで伝えようとしたことって何回もあって。でも怒って伝えるんじゃなくて、冷静に話す伝え方ができるようになったらなぁって…

(第5話より)

なかなかうまくいかないのが人生ですよね。怒らないって決めたはずなのに彼女は「怒り」という伝え方で目の前にいる人の心を変えようとしてしまいました。この場面の日本人は恐ろしいくらいに愚かです。ミャンマー人の運転手さんは怒っていないのにその気持ちを代弁するかのように怒るディレクターも、その怒りに反発して今までの不満もぶつけてしまうでっぱりんも、彼女の怒りを冷静に受け止めきれず自分が言いたいことを言ってしまうハト胸も。なぜここまで感情の発露に対応できないのでしょうか。怒りに対して怒りで対応してしまうことの滑稽さ、その気持ちが分かってしまうだけに悲しいですね。去年公開の『怒り』という映画のことも思い出してしまいました。怒りに震える犯人とそれに対して怒りで返してしまう少年の姿。怒りという感情が壊してしまうこの世界の何もかもを、なんとかして救う手立てはないのでしょうか。ただそんな中にも救いがありました。シャイボーイとオードリー若林の発言です。

シャイボーイ:それでいいと思うよ。僕はでっぱりんの意見に賛成で…(でっぱりんに発言を遮られる)

若林:あの状態のでっぱりんに甘えって言葉は入ってこないでしょ。一回「わかる」っていってあげないと。

ああ若林…。あなたを信じてきてよかったよ…。奇しくも恋愛弱者であるはずの2人が導き出した真理。この一致は偶然ではないでしょう。若林とシャイボーイがいるだけで「あいのり」はすごく見る価値がありますよ!!!奥さんも青年も少年少女もこの番組を見て恋愛と人生について学びましょう!