縞馬は青い

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映画とかドラマとか、好きなもの

カルチャーをむさぼり食らう(2019年4月号)

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日記「カルチャーをむさぼり食らう」第2回です。3月に摂取したカルチャーの濃密さに比べるとどうしても薄いな今月は。というのも、4月はほとんど『テラスハウス』に支配されたひと月だったから。中学生か高校生の時にやってたファーストシーズンはテレビで姉と母と楽しく見ていたのを覚えてるけど、嘘くさい感覚を覚えてその後のシーズンは見ていなかったテラスハウス。しかし軽井沢に旅行で行く予定があったので軽井沢編を見てみると、これほどおもしろいエンターテイメントがこの世にあるのか!というほどに熱狂してしまったのだ。何にかはわからないけど、お恥ずかしい気持ちでいっぱい。触発されて無性に恋をしたくなっていたりもする。そんな4月。そんなにおもしろくなかった映画の話は排除して、ほぼテラスハウスに関する論考を記すカルチャー日記となることでしょう。

 


4月5日。仕事終わりにポレポレで『グッドバイ』をみる。とても抽象的な映画で、映画誌「NOBODY」のライター・結城秀勇さんと監督とのアフタートークがなければなんにも理解できていなかったと思う。少し油断するとレッテル貼りにもなりかねない「言葉」の暴力性と鋭利さを改めて実感し、それと対比的に、境界の曖昧さを表出することができる「映像」の雄弁さに見惚れた。どれだけ言葉を重ねても、現実と映像の強固さには敵いようのない気がした。

filmarks.com


4月7日。玉田企画『かえるバード』を観劇。前作の『バカンス』、映画版の『あの日々の話』を先に見ていたので、特有の「気まずさ」を描写する作風に慣れていたしそれを求めてもいたのだけど、本作がその2作とは全く違う様相で驚いた。「今までとは違うスタイルに挑戦したかった」とはアフタートークで玉田さん自身が話していたが、「気まずい」という言葉をセリフの中に出すメタ的な演出や、舞台上の2つの場所とそれを隔てる道の大きな存在感が印象的だった。玉田企画の演劇はいつも台本が完成するのが本番の数時間前とのことで、役者が噛み噛みだったり妙な緊張感で覆われているのはアリなのかナシなのか。いい方に働くことはない気がするのだけど。

昨年くらいからずっと見ていたカルチャー番組『ぷらすと』が終わってしまうとのこと。(6月からアクトビラで再開するらしい。)尊敬する映画ライターである宇野維正と松崎健夫を知ったのはこの番組からなんだよな。『アフロの変』とか変なカルチャー番組を昔から好んで見ていたなぁと思い出す。

このあたりからテラスハウスを見はじめて、寝ても覚めてもそのことで頭がいっぱいだった。テラスハウスがなぜこんなにもおもしろいのかと必死に考えたのだけど、それは人が恋する瞬間とか怒る瞬間とか泣く瞬間とか、理性の飛んでしまう一瞬が映ってしまっているからなのだと思う。カメラがそこかしこに設置されている家に住んでいるのだから、聖南さんのように自分の写り方を気にすることや裏でコソコソと秘密のやりとりを交わしてるなどは当然あってもおかしくないこと。しかしそうして気を張っていても、生きていると理性を失ってしまう一瞬というのが必ずあって、そうした表情や行動がカメラに映ってあらわになってしまうからこそこの生活ドキュメンタリーはおもしろいのだ。ドキュメンタリーには人が恋する瞬間は写すことができないからと、物語を用いて映画を撮ることに挑んだ三宅唱監督(『きみの鳥はうたえる』)https://www.cinra.net/interview/201903-miyakesho/amp?__twitter_impression=true。いやいや、もう映像カルチャーは、そんな瞬間さえも収めることに成功してしまっているのだよ。「物語」の必要性さえもが脅かされるとんでもないカルチャーだと思う。おもしろすぎて怖い。

この勢いのままに軽井沢へと旅行に行き、カルテットのロケ地とテラスハウスの家(おそらく)を訪れ、冴沙で温かい天ぷらそばを食べて富男も拝んできた。別になにか特別に訪れるべき場所があるわけではないのだけど、無性に惹きつけられ、中毒性のある街。きっとまた2、3度足を運ぶことになると思う。

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カネコアヤノの新譜「愛のままを/セゾン」がとてもいい。昨年の『祝祭』がそうだったように、春の高揚感と気だるさを共にするにはぴったりの楽曲だと思う。昨年末のカウントダウンジャパンから、バンドセットではなく弾き語りのライブをずっと見たいと思ってる。

愛のままを/セゾン

愛のままを/セゾン

 

 

7年前くらいから応援しているサッカーチームのトッテナム・ホットスパーがCLのベスト4に進出した。知ってます、このチーム?知らなくて当然ですよ、そんなお金持ちの強豪チームじゃないんで。だからこそヨーロッパで4本の指に入っている特別さが浮き立ってくるというもの。ああ、もう一度ロンドンに行きたい。

4月20日。中国の青春映画『芳華Youth』を見た。コンディションが悪く最初の30分くらい寝てしまったものの、そこから90分の映画だったみたいにしっかり楽しむことに成功した。純白と鮮やかすぎる赤。『チワワちゃん』にも共通するその色の組み合わせは、青春色として深く心に刻み込まれた。

リアルサウンド映画部にて『俺のスカート、どこ行った?』の毎話レビューを担当しています。1話目はすごいおもしろかったけど、2話目は特に…って感じ。教師陣のキャラが濃く、生徒は無名俳優ばかりなので(無名俳優が出演する学園ドラマはだいたいおもしろくなる)今後が楽しみ。

realsound.jp

4月21日。今泉力哉監督作『愛がなんだ』をみる。昨年の10月に東京国際映画祭で見ていたので2回目だったけど、その時より共感度が高くなっていて身につまされながらもすんごく楽しんでみてしまった。角田光代の原作小説を読んでから後日3度目を観に行って、感想文とテルコという人物についての考察を書きました。今まで書いてきたなかで最も自信のある文かもしれない。というか、『勝手にふるえてろ』のヨシカとか『パンバス』の市井ふみとか、あるいは『怒り』の田中や『あいのり』のでっぱりんなど、ひとりの人物に迫って論考を記すことが好きみたいだ。

こういう一番嬉しいことも言ってもらえるし、今泉監督の次作『アイネクライネナハトムジーク』はリアルサウンドでレビュー書けるようになんかがんばろう。

 

4月22-24日は旅行記事の仕事で日本最北端の地へ飛んでいた。前を向く決心のつく有意義な時間だった。f:id:bsk00kw20-kohei:20190504013847j:image
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4月27日。『アベンジャーズ/エンドゲーム』を見た日。これほどネタバラシ感想を避ける必要があると、レビューを書き忘れてしまって終いには何が良かったか忘れてしまうのだよな。そうだからいつもすぐにレビューを書いているのだけれど。でも11年の戦いに終止符が打たれたのだから、それはそれは衝撃的な作品でしたよ。ヒーローにも生命が息づいていて、そうした生活描写の細かさに胸がえぐられました。

 

4月はテラスハウスと愛がなんだで満たされた、表層的には何もない月だった。海外旅行したい。