縞馬は青い

縞馬は青い

映画とか、好きなもの

先週食べたカルチャー(20年12月2週目)

先週摂取した映画、ライブ、ドラマ、演劇などの記録。

12月9日、CSテレ朝で生中継されていたアンジュルムの武道館公演をリアルタイムで観た。船木結さんの卒業コンサートアンジュルム コンサート2020 ~起承転結~ 船木結卒業スペシャル」)。「大好き」が魔法のように幾重にもこだまし、愛が積み重なっていくとても美しい時間だった。ふなっきがとにかくキューティーむすぶたんらしく仕上がりまくっていて、ヴィジュアルももちろんなのだけどとりわけ全くブレない歌唱とダンスに惚れ惚れする。とくにあの、メンバー一人ひとりと交わした16分ぶっ通しのメドレー。夏終わりに、あるアイドルの無観客ライブを観ていたとき「久しぶりのライブでさすがに息切れしてるな…辛そうだな…」と思ったことがあったから、この「完璧さ」が当たり前のものではないと理解しているつもりだ。当たり前のことなんてなにもない。ひとまず、半年の延期はあったものの卒コンを開催できてほんとによかったし、そこにベストコンディションを持ってきてくれたふなっきには感謝しかない。アンジュルムのライブを観ると「結局はLOVEでしょ(©︎46億年LOVE)」と最終的にそういう結論になってしまうけど、それでいいのだろう。りかこがふなっきに向かって最後に叫んだ「LOVE!」を僕はたぶん忘れない。

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の、次の日は宮本佳林さんの卒コン(「Juice=Juice コンサート2020 ~続いていくSTORY~宮本佳林卒業スペシャル」)。この日は武道館へ行けた。ちょうど1年くらい前に代々木体育館のライブを観にいっていて、彼女たちにとっても自分にとっても大きな会場での単独はそれ以来。ライブ行く前の1週間くらいめっちゃ心躍っていたなぁ。久しぶりにライブを観れるうれしさ、ようやく彼女たちが全力でパフォーマンスを発揮できるときがきたんだという安堵感。Juice=Juiceについてはずっと応援していたわけではなくそれこそ1年前に初めてライブを観にいったのだけど、デビュー時からその軌跡はときおり楽曲と映像で追っていた。人数の増減を経ながらも、大きな問題はなく順調に着実に「最強のグループ」になっていった印象を抱いている。高い水準での安定感と、それでもずっと見せ続ける伸びしろと成長に何度も驚かされた。井上れいれいが加入し最初で最後の9人体制となった武道館公演も、1曲目の「ひとそれ」から布陣が強すぎて、なんだか戦隊モノを見てるみたいに興奮してしまった。れいれいがすっかりJuice=Juiceの一員になっていることに驚きを通り越して納得し(ビートと共鳴するボイパの重低音…)、タコちゃんは終始目で追ってしまう異様な存在感とダイナミックさがあったし、松永さんの堂々たる歌唱がめちゃくちゃ頼もしかった。特に目が離せなかったのがこの歴の浅い3人だったから、そりゃあJuice=Juice強えよなと。中心メンバーが卒業するっていうのにこんなに会場が安心感と純粋な送り出す雰囲気に包まれるステージになっていたのは、彼女たちの脂が乗りまくってるからだと思う。

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この武道館公演で、Juice=Juiceの楽曲をちゃんと聴いてなかったことに改めて気づかされた。「この世界は捨てたもんじゃない」、あれ名曲すぎでしょ……。

為せば成る?

土砂降り、空振りだって ポジティブ全開

ほら、ピンチもチャンスも活(い)かせ Go!

太陽はみんなを照らす

雨雲散らした 風も味方だ

この世界は捨てたもんじゃない

スマホ失くしたし 彼に振られたし

メゲていたけど

バイト出かけたら イケメンお兄さんが

「君の?」って差し出したんだ

捨てる神に拾う神 一寸先は「光」かも

落ち込むヒマないさ 楽しめなきゃソンさ

私が創れるこの世でひとつの 物語、これから

為せば成れ!

赤裸々、あるままゆこう ひたむき全開

ほら、笑う角に君が Yes!

風向きはいつか変わる

世界は広いが 眺め尽くしたい

8番目の虹はどんな色?

「彼に振られたし」を「スマホ無くしたし」の前に持ってくるセンス、「ポジティブ全開」に負けない「ひたむき全開」というパワーワード、岡田脚本のドラマみたいな優しいストーリーテリング、クレイジーテンポなノリノリ最強リズム…。佳林ちゃんの歌い出しも素晴らしいよね〜、これから誰が歌うことになるのか楽しみ。「CHOICE&CHANCE」〜「ポップミュージック」〜「この世界は捨てたもんじゃない」の流れがとびきり明るくて心が溶けました。

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『おちょやん』、観てます。2週目が終わったところ。3週目からはいよいよ杉咲花が登場する。それにしても2週目までの10話を牽引した子役の演技が素晴らしかったなあ。千代の幼少期(毎田暖乃)と一平の幼少期(中須翔真)のふたりがとてもよかった。おちょやんは岡安に来て最初の挨拶で親への嘘の愛を語り、一平は仮病をつかって舞台に立つことを拒否する。この両者の「嘘の芝居」が、第10話で発露される本物の感情に説得力と厚みを増していて、ほげぇとなった。両親の不在、喜劇への信頼、役者への憧れ。今後重要なテーマとなってきそうな事柄の土壌がつくられた第2週。朝ドラって「血縁家族」への執着が強い印象を勝手に(めちゃくちゃ勝手に)抱いているのだけど、本作は「親に捨てられた」主人公が奉公先で新たな関係性を見出していく話で、やっぱりそのあたり期待してしまう。

劇団かもめんたるの第10回公演『HOT』をオンライン配信で観劇。前回公演がとてもよかったと言っている知り合いがいたから、第5回公演『市民プールにピラニアが出た!!』以来久しぶりに観たのだけど、このちょっと気持ち悪い笑いの構造、無駄なことを永遠と語り続けている感じに、あぁ…好きです、けど特別面白いとも言えないなぁ…っていうどっちつかずな感情を抱いた。もうちょっと笑いに振り切ってくれたり、下衆さを全面に出してくれるとわかりやすく楽しめるんだろうなとも思うけど、これが劇団かもめんたるなんだからしょうがない。今年上演された玉田企画の『今が、オールタイムベスト』にう大さんが客演として参加していたわけだけど、やっぱり彼の最大の毒味を味わえるのは劇団かもめんたるしかないんだよな。

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Netflix『クイーンズ・ギャンビット』すこーし時間がかかったけど見終えた。どんどんどんどんまるでアクション映画かスパイ映画を観ているような激しい劇伴が物語を覆っていくことに気づいてからは、このドラマが「アクション/リアクション」の反復によって成り立っていることに注意深くなった。チェスというのはまさしくその要素を最大限に司る媒体にほかならず。予定調和のない駒の運動には、リアクションが途絶える未来が運命づけられている。死を選んだ母親の真意、憂いに満ちていた義母、初めて愛した人に受けた痛み。このドラマにはいくつか宙ぶらりんにされる問題があって、そのリアクションなき現状への苦しみが主人公をどん底に突き落としていく。そんな彼女に対してもアクションを止めない多彩なキャラクターたちがいて。それに励まされながら、負けを恐れながらも最強の敵に立ち向かう勇姿。リアクション=アクションができないということがイコール負けになる世界で、それでも立ち向かっていく彼女の強さ。こういうアクション映画があってもいいよなって思った(映画ではないが)。初めて出会ったけどアニャ・テイラー=ジョイがとにかくめちゃくちゃ素晴らしい。

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12月11日より上映されているラトビアのアニメーション映画『Away』をちょっと前にオンライン試写で観ていた。これ、めちゃくちゃ面白い。というか好きすぎるタイプの映画。全編セリフなしなので、ファンタジー感満載の映像から自分の想像力だけを頼りに物語を発展させていく感じ。そういう構造もそうだしストーリーや映像自体がそうなのだけど、とてもゲーム性のある作品だと思う。気になる方はあんまり情報をいれずに観てみてほしい。終始いろんな意味で楽しい映画だからおすすめできる。

 

またちょこちょこカルチャー日記書きます。