縞馬は青い

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あなたにとってユーチューバーとは?と問いかけられたような気分──『AGE OF EIJI -アバンティーズのすべて』を見て

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ずっと何かを書きたいと思ってた。1月4日に人気ユーチューバーのアバンティーズ・エイジが亡くなったというお知らせがツイッター上で流れてきたときから、ざわざわと心が落ち着かなかった。この思いをいつか放出しないといけないなぁと思いながら一か月半が経ち、僕がそうやってグズグズしている間に残された3人のアバンティーズメンバーたちはまっすぐな目で未来を見据えることができるまでに、心が整理できているようだった。

 

先日YouTube上に公開された『AGE OF EIJI -アバンティーズのすべて』は、年始からの一連の出来事とアバンティーズのメンバーが出会い、仲良くなり、衝突し、アバンティーズになるまでーー要するに“アバンティーズのすべて”が収められた、YouTuber動画としては異例の68分のドキュメンタリーだ。これを見て単純に、ユーチューバーってやっぱすげぇなって思った。


アバンティーズのすべて


ここまできてあれですが、僕はアバンティーズの動画を十数本くらいしか見たことがありません。たぶん。毎日見てたとかいうあれでは全くない。しかし思い返すと、ここ3、4年はかなりユーチューバーに助けられてきたと思う。映画やドラマ、漫画、音楽などなどエンタメにおける行動範囲が広い自分だけど、YouTube動画は全く別の次元で唯一無二に存在してきた。そうしていつのまにか自分の生活にはなくてはならないものになっていたから、ライターの仕事を始めるときにもこの人たちへの愛ならいくらでも書ける!と思って「パオパオチャンネル」の記事を書いたし、今も毎日欠かさず誰かの動画を見ながら、そこに誰かの“生”を感じてる。

 

YouTuberがつくる動画というのは、画面の向こう側、世界のどこかで、“誰かがそこに生きている”ということを強烈に感じさせるコンテンツだと思う。今日一日辛いことがあっても、あるいは何もなさすぎて憂鬱でも、画面の中にはいつもと変わらないその人たちが生きていて、必死に何かをして僕らを楽しませようとしてくれる。ヒカキンからはじまったのだろう「ユーチューバーは、途切らさずにほとんど毎日動画を投稿すべき」という暗黙のヒット法則的なものも、そんなに無理しなくていいのになと思う自分がいる一方で、結果的に日々の励みになり、途切れることのない他者の暮らしに身を寄せることの喜びを感じることにつながっている。

 

だから、ユーチューバーが死ぬなんて思わなかった。しかも突然。いや、死なんてだいたい突然なのだけど。

 

そういうことで、そこまで熱心に見ていたわけでもないアバンティーズのメンバー・エイジが亡くなったと知ったときにも、心がえぐられるような気持ちになった。おそらく彼らのファンだった人はもっと深い悲しみとどうしようもなさに襲われていたと思う。死の重さを比べるのは良くないけど、樹木希林さん(大好きな俳優だった)が亡くなった時と同じくらい、もしくはそれ以上の喪失感が僕にもあって、自分でもその状況にびっくりしてしまった。自分にとってユーチューバーってこんなに大事だったんだってそのときにようやく気づくことができたんだ。

 

リアルサウンドという媒体でライターとして文章を書き始めることができたのは前述のとおりパオパオチャンネルがあってこそだったし、そもそもライターになろうと思ったきっかけのひとつに「ユーチューバーへの憧れ」があった。自分と同世代の人たちが、日々何10万、何100万という人に動画を届けているというのが、すごく衝撃的だったのだ。だから自分もそういう存在に一歩でも近づきたいと思ったし、同時に彼らの凄さも伝えていければいいなと思った。

 

改めて、先日公開された『AGE OF EIJI -アバンティーズのすべて』はすごくいい動画だった。なぜ彼らがユーチューバーとして動画を投稿し続けるのかがすごくよくわかる内容だったし、僕ら世代の常に先を行く彼らの変わらない“かっこよさ”に感激することができた。画面の向こう側のあの人たちが常に前を向いているからこそ、僕たちも生きていけるのだと。ユーチューバーへの愛が確信に変わった瞬間だった。

 


僕たち活動休止します。


アバンティーズ / HELLO! NEW AVNTIS

 

ほんとうに、アバンティーズは視聴者のワクワクを生み出すのがうまいなぁ。

 
エイジさんのご冥福をお祈りするとともに、アバンティーズのより一層の活躍を願っています。

いちユーチューバーファンより。