縞馬は青い

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「パオパオチャンネル」というYouTuberについて

近年のYouTube、とりわけYouTuberの隆盛について真面目に論じているライターやブロガーっているんだろうか。YouTuberを特集している雑誌なんかではもしかしたらそういった記事があるのかもしれないけど、身近ではあまり見かけることがない現状。音楽や映画と同じようにもっと身近にそういったものが溢れていてもおかしくはないのになぁともやもやしたんで自分で書いてみよう。

上記のように、真面目に論じられることの少ない「YouTube」は、エンターテイメントという分野の中でもまだまだ軽視されがちなカルチャーであると感じる。最近になってテレビ番組でYouTuberが特集される機会というのが増えてきたけれど、「過激なことやって面白がってるだけでしょ?」とか「遊んでるだけじゃないの?」という偏見の声はまだまだ聞こえてくるんですよね。確かに「過激なこと」や「遊び」を映像に収めているだけなのかもしれない。けれど、そこがテレビと違って自由度が増す面白い部分だと感じるし、そもそもエンターテイメントってどれも好奇心が生み出した「遊び」が発端なんじゃないの、と突っ込まずにはいられないのです。「遊び」だからってYouTubeポップカルチャーとして認められないのはおかしな話でしょ?ただ、その「遊び」のレベルが他のエンタメと比べて稚拙だったり、YouTuberと呼ばれる演者が学生や若者に集中しているという点において、視聴者の側にある種の「年齢制限」が掛かっているとは言えなくもない。つまり「YouTube」というエンタメは概ね30代以下くらいの人が観れば面白さを享受出来るけど、そのぶん「大衆性」には欠けているんだろうな、というのが結論です。ポップカルチャーを語る人がその「30代以上」に多いのがまだまだ認められない要因かもしれません。

 

* * *

 

さて、本題は「パオパオチャンネル」というYouTuberのお話。今年、いろいろなYouTuberを見てきた中でも特別面白く、また親しみやすさを感じた彼らのことを。

パオパオチャンネル - YouTube

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男女2人組のYouTuberで、右の男性が「ぶんけい」、左の女性が「@小豆」といいます(ぬいぐるみは「パオぞう」)。

この2人、実は、「付き合ってないんです!」(笑)そう、この2人は付き合ってないんですよ。大事なことなので2度言いましたが、彼らの動画のコメント欄には「付き合ってないんですか?」とか「2人が付き合ったらうまくいくと思います!」というコメントが溢れている。これは何故かというとまず男女2人でYouTubeをやるのはカップルチャンネルだけだろう(実際にカップルチャンネルというのも多く、また人気なので)という視聴者の先入観があり、次に彼らの「仲が良すぎる」点に起因する。まぁ特に後者だと思うんですが、そんな彼らは「質問コーナー」と題した動画の中で再三「付き合ってるんですか」という質問を視聴者からぶつけられる。

視聴者A:ぶんちゃんとあーずーは付き合ってますか?
2人:付き合ってませーん(苦笑)
視聴者B:二人は付き合ってるの?
2人:…。(無言)

またそういったコメントの多さについて

質問者C:付き合ってるんですか?カップル?というコメントの多さにどう感じてますか?
@小豆:期待されているのか?という気持ち。応えなければいけないのか?という変な気持ち。でも応えることは(でき)ないという気持ち

心の底では付きあって欲しいと願う視聴者もこれには納得してしまうでしょう。だって誰もが不可能だと論じた「男女間の友情」がここには存在しているから。

ただ彼らのズルいところは、そういった「カップル論争」を動画のネタにしている点にある。「もしぼくたちが付き合ってデートに行くとしたら」という動画に始まり「初めての共同作業やっちゃいました」や「今まで一緒だった2人が遠距離になってしまったら。」とか…釣りにも程があるんですがそれが「ありえそうでありえない」彼らだからこそ見てしまうんですよね。慣れてくると、こんな事をネタに出来るなんてよっぽど友情が深いんだな、とフラットな目線で楽しむこともできます。さて、そういった「擬似カップル」的な動画だけでなく、ドッキリや逆再生など面白い動画は沢山あるのですが、ここでは彼らの「友情関係」をもっと深掘りしてみたい。その人間性と2人の関係性に親近感を覚えるから。

2度目の「質問コーナー」と「相性診断」という動画内で見られた彼らの互換性について。「質問コーナー」では再びあの質問が。

視聴者D:なんで付き合ってないんですか?
@小豆:チャンネル開設して半年以上経つけど、言われ続けるね。今後も言われ続けると思う(笑)
ぶんけい:あれじゃない、タイプじゃないからじゃない?笑
@小豆:(笑)まぁそうゆうことになるよね
ぶんけい:もう「おとん」やねんな、たぶん。
@小豆:確かにね。もうそうゆう仲だよね
ぶんけい:家族みたいな感じかも
@小豆:そうだね

ほんとかなぁ?笑 まぁ突っ込むのは野暮なので信じましょう。しかし「タイプ」という曖昧な尺度表現を超えて、彼らには驚くほどの「互換性」があることが動画を通して伝わってくる。

・2人のよく使う絵文字欄をみたい!という質問で明らかになった共通する落ち葉🍂の絵文字
・即興で同じポーズできるかやってみてほしい!に対して完全一致した2人のポーズ
・叩いてかぶってじゃんけんぽんを3連発で!に対してあいこが4回も続いてしまって笑い転げる2人の姿

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また「【相性診断】」という動画の中でも諸々の一致を見せ、その中で「恋人と一緒に見たいアニメといえば?」に対して「クレヨンしんちゃん」と答えを一致させた2人の理由が印象的だった

@小豆:私はこうゆうくだらないのでも笑えるよ、みたいな
ぶんけい:そのくだらない中で笑いあえる関係が理想的ってことよな

いや、そうなるとあなたたちこそ理想の関係じゃないですか。とまたしても野暮な意見を口に出してしまうのだけど、それでも友情関係を維持し続ける彼らの姿にどこか共感に似た気持ちと親近感を覚えるのです。また、彼らの関係にはMr.Childrenの「LOVE」という曲を思い出してしまった。

振り向けば 心の隅に君がいて
I want smiling your face 
いつもそれだけで
投げやりな気持ちが空に消えてくよ
でも“愛してる”とは違ってる
ちっぽけなプライドも遠慮もいらない
束縛やヤキモチはちょっぴりあるけど
燃えるような恋じゃなく ときめきでもない
でもいいじゃない
それもまた一つの Love…Love…Love…

これはちょっぴり浮気心を持った男性目線の歌ですが、恋人とも友情とも言えないけれどそこには確かに「Love」がある、それで十分でしょ?と語るこの歌に2人の関係を重ねてしまう。

「男女間の友情」は成立するのか。彼らの関係がその答えを示してくれることでしょう。こういった「リアルな人間関係」が見えるのも他のエンタメにはないYouTubeが持つ素晴らしい側面だと感じます。

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みんなで楽しめる「逆再生チャレンジ」を考案!の巻